「怖いとき、どうするんですか」
「死んだみたいに目をつむってじっと我慢してる。そうすれば、いつかは通りすぎるから」
(中略)
「毎回怖いって思うたびに、そう言えばいいじゃないですか」
「そうかな」
「そうですよ」(p.158-159)
デビュー作(品集)の『シルエット』から格段に巧くなっていて、先ずそれに驚きました。単行本が出たのが三年半以上前の作品に対して、こんな風に云うのもどうかと想うんですが、「こりゃあ、化けたな」と。文章、物語の運び、キャラの立て方、そして作品全体の雰囲気と云うか、読んでいる最中に感じる快さ*1が非常に良くて、何だかとても波長が合ったような気がします。分量的な問題もあるかも知れませんが、近作の『ナラタージュ』なんかよりもよく纏まっていて、個人的には「角田光代の背中が見えた!」って感じがしました。まぁ、こういう作風で後十年くらい書き続けてくれれば、の話ですけど。
- 作者: 島本理生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/01/13
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*1:個人的にはかなり大事