chronic life

地下室の屋根裏部屋で

嘘のこと

 吐かなくていい、本当にどうでもいいような嘘を吐かないようにするには、一体どうしたらいいんだろうかと考えていた。僕は、そういう類の嘘をあまりに吐き過ぎているのではないかと、ちょっと不安になったからだ。
 逆に、本当は嘘でもいいからこういう場面ではこういう言葉を掛けた方がいいんじゃないか、と想うような時には、全くと云っていいほど嘘が出てこない。つい昨日もそういう場面に出くわしたのだが、やっぱり一言も嘘が吐けなかった。本当のことを云うか押し黙るしか、僕には出来なかった。これは一体どうしたことだろうか。
 多分まだ僕は、嘘を巧くコントロールすることが出来ないのだろう。24年やそこらでは、まだまだ嘘吐きとしては半人前だ。嘘のアマチュア、嘘吐き四級である。嘘吐き師範代になりたいとはそんなに想わないが、自分の嘘に振り回されたり、自分の嘘で凹んだりするのは、そろそろ減らしていきたいものだ。もっと、嘘と仲良く戯れたい。嘘と笑い合っていたい。嘘と幸せになりたい。嘘を、愛したい――。