ただ、面倒臭いことや、つまらなさそうなことの説明は省くつもりなので、結果的に、鳥井たちに関連した出来事が中心になるのも事実だ。(p.56)
「惜しい」と云うのが、読み終わっての(そして読んでいる間もずっと感じていた)率直な感想だった。それはもしかしたら、僕が大学生活を送ったことがないからかも知れないし、ただ単に僕がぼんやりしているからかも知れない。或いは、目の前に広がっている「砂漠」から、僕自身が全力で目を背けているからと云う可能性も否定は出来ない。全体としても、細部についても、面白いは面白いのだけれど、やっぱり「惜しい」と云う気持ちが、一番に立ち上がってきてしまう。何故こんなにも「惜しさ」ばかりが、僕の胸中を渦巻いているのだろうか。その答えは、風に吹かれて――はいないと想う。とは云え、鳩麦さんが素晴らしく好ましいので、後はまぁいいかと云う気にもなってくる。かと云って、別に「もっと鳩麦さんの出番を増やして欲しい」なんて想ったりはしない。これくらいの出番の量だからこそ、彼女は最高に輝いているのだろうし。あー、鳩麦さん鳩麦さん。
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2005/12/10
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