chronic life

地下室の屋根裏部屋で

黒い仏/殊能将之/講談社文庫

いきなり本篇と無関係なことで恐縮なのですが、今回初めて文庫で再読してみて、豊崎由美さんの解説も初めて読んだんですが、この解説に書かれている内容と云うのが、非常に今の僕には響きました。共鳴、共振と云ってもいいかも知れません。丁度最近、自分の中でモヤモヤと渦巻いていた名指し難い、はっきり言葉で言い表し難い感情を、実に的確に表現されていて、胸が空く想いでした。ボルヘス読まなきゃ。
それにしても、『黒い仏』である。最近どうも、「読書」や「小説」に対して、何だか微妙にくさくさしているような気がしていて、そういうのを吹っ飛ばしたくて再読してみた訳ですが、やっぱり面白いなぁ、これ。後半の展開も勿論大好きなんですが、個人的に一押しなのは、殊能さんの描く魅力的な刑事達。本作以外でも、殊能作品に登場する刑事は皆魅力的なんですが、僕は特に中村贔屓な訳です。第三章の「6」とか、超いいじゃないですか。それに、(多分)ここにしか登場しない林刑事とか、この僅かなパートで何と云うキャラの立ちっぷりだろうか! とは云え、再読するまで名前もろくに憶えてませんでしたけど。
……って云うか、『黒い仏』読んどいて、中村刑事がいい!とか力説するって云うのも、結構少数派なのかも知れませんが。いいものは、いい。

黒い仏 (講談社文庫)

黒い仏 (講談社文庫)