chronic life

I can (not) have relations.

ラス・マンチャス通信/平山瑞穂/新潮社

読了。現在「極上を読もう」企画遂行中のウリオさん@id:urioのご推薦で読みました。何なんだこれは。あまりの衝撃に、編集画面が新しくなってから初めて強調とか使っちゃいましたよ。凄いです。凄い面白いです。しかし、例によってそれを巧く言語化することが非常に難しい。読後感としては、気だるい目覚め、って感じ。何かよう判らんか。
一言でざっくり云ってしまうと、とても不思議な話なのですが、どうにも色んなところで色んなものが食み出している。異質と云うか、奇妙。奇妙と云うか、不自然。いやいや……。兎に角よく訳も判らないまま、どんどん流れていく物語を追っていくのが病み付きになり、何時の間にやらある種のトランス状態になってしまう。本を読んでいるのか、本に読まれているのかよく判らないような、どうにも捩れた感覚。自分の体験じゃないのに、自らの暗部を見せ付けられたかのような衝撃。色々複雑な感情が心を波打っているような気もするし、唯ただ深く物語に惹き込まれているだけのような気もする。本当に、とても不思議で魅力的な作品でした。
人に薦めて感想が訊きたくなる気持ちもよく判りました。実際、今の僕がそうです。はてなやら何やらで、貪るように人様の感想を探しております。後、烏滸がましくも小説を書く者の端くれとしては、非常に魅力的でとても惹き付けられる小説だけれど、安易にこれを模倣しようとしても、火傷するだけだな、と。一歩間違うと、唯の訳判んない話にしかならないので。そのギリギリのところで、豪快なうっちゃりを決めて素晴らしく面白い小説に仕上げているこの平山瑞穂と云う人を、僕はこれからも追い掛けて行こうと想います。

ラス・マンチャス通信

ラス・マンチャス通信