chronic life

I can (not) have relations.

山崎ナオコーラ『この世は二人組ではできあがらない』新潮社

 桜庭一樹における『赤朽葉家の伝説』のような、山崎ナオコーラ「初期の代表作」と云った趣きの、これまでの集大成的な力作。帯に躍る「素朴な社会派小説」「社会とつながりに切り込む〈反恋愛小説〉」と云うフレーズが、雄弁にその内容を語っております。それにしても、山崎ナオコーラの小説を読む度に、僕は酷く心を揺さ振られてしまう。と同時に、自らが小説を書く意義、オリジナリティが崩れ去ってしまいそうになる。「ここまで書かれたら、もう俺が書くことないじゃん」って気になって。「日本」に「にほん」とルビを振る、山崎ナオコーラの言葉を、これからもずっと感じ続けたい、と想った。

この世は二人組ではできあがらない

この世は二人組ではできあがらない