桜庭一樹における『赤朽葉家の伝説』のような、山崎ナオコーラ「初期の代表作」と云った趣きの、これまでの集大成的な力作。帯に躍る「素朴な社会派小説」「社会とつながりに切り込む〈反恋愛小説〉」と云うフレーズが、雄弁にその内容を語っております。それにしても、山崎ナオコーラの小説を読む度に、僕は酷く心を揺さ振られてしまう。と同時に、自らが小説を書く意義、オリジナリティが崩れ去ってしまいそうになる。「ここまで書かれたら、もう俺が書くことないじゃん」って気になって。「日本」に「にほん」とルビを振る、山崎ナオコーラの言葉を、これからもずっと感じ続けたい、と想った。
- 作者: 山崎ナオコーラ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/02/24
- メディア: 単行本
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