読書がさかんになるのはあまりいいことではない。読むべきものを見失うことにもなるから、読書はこわいおこないなのである。(p.161)
「小説を読むというのと、書くというのは同じことじゃありませんか。たとえば、僕は自分で書いて一つの世界を作りますね。読んでる場合でも、やっぱりそれを材料にして世界を作るわけでしょう。だから読者の文学はあり得ると思うのです。書く人と別のものではないという感じがするんです。つまり、それを本当に理解出来れば、いい作品を読むことはいい作品を書くということと同じだと思うのです。自分で解釈し、自分で組立てるわけですからね。」(中央公論社『日本の文学64』一九七〇/月報)(p.174-175)
二つ目の引用は、田宮虎彦の発言の孫引きになるんですが、非常に感銘を受けたので敢えて。元々、この書評を読んで手に取ったんですが、いやはや荒川洋治の文章は読んでいて実に様々な思考を喚起させてくれます。こういう文章を書く者に、私もなりたい。
- 作者: 荒川洋治
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2009/12/11
- メディア: 単行本
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