それに、この部屋は絶対に酸素の濃度が下がっていると思う。さっきから、どうやっても襲ってくる眠気と欠伸も、ただ退屈というだけではなくて、酸素が足りないせいに違いない。それは別におっちゃんが百人いるからというだけではなくて、違う年齢や性別の人でも、この部屋にこの人数はどう考えても多すぎる。わたしは後ろの壁際に一人だけ離れて座っているからまだましだけれど、隣の人とぴったりくっついて座っている人たちが倒れたり叫び出したりしないでちゃんと話を聞いていられるのは、偉いと思った。(p.76)
自分の名前について二人がやりとりしているのを見ながら、わたしはやっと、寺島さんが似ていると思ったのは笑福亭仁鶴だと気がついた。(p.90)
僕が、電車の中のように多くの人が集まっていて密閉されている場所に長時間いるのが苦手なのは、酸素が足りなくなってくるからかも知れない、と想った。いや、勿論感想がそれだけな訳ではないんですが、ちょっと勿体ないので。
- 作者: 柴崎友香
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