chronic life

I can (not) have relations.

山崎ナオコーラ『指先からソーダ』朝日新聞社

 ただ私は、自分の結婚式で蝶ネクタイを締め自分で司会を務めたい、という野望を持っているので、それができなかったら、少し残念だ。(p.52)

「靴に砂が入っちゃったの」と言う相手もいないので、自分のタイミングで立ち止まり、左右順番に片足立ちをする。靴をコンコンと叩き、砂を出す。再び履くと、まだ微かに砂が残っており、ザリザリとする。面倒なので、そのまま歩き出す。
 駅に戻る足は弾んでいる。孤独、という言葉には暗い雰囲気が付きまとうが、実際は、ひとりっきりで行動することには、明るい快感がある。
 私は群集の中で、ひとりっきりで過ごすことが嫌いじゃない。(p.81)

指先からソーダ

指先からソーダ