chronic life

地下室の屋根裏部屋で

山崎ナオコーラ「慧眼クアラルンプール」(『文藝』2006年冬季号所収)

 私の子ども時代には大きな戦争があった。貧しい時代に育った者は「君たちは恵まれている」と言いがちだが、私は「誰だって『自分が生まれた時代がいちばん良い』と思っておくのが、良いよね」と、年若い友だちには話すようにしている。
 私は、自分の生きてきた時代を否定する気には、まったくなれないのだ。おいしいものをいろいろ食べてきたし、面白い映画も見たし、山登りもした。(p.395-396)

多分、再読だと想うんですが、どこにも読んだと書き残していなかったようなので。まぁ、分量的にちょっと短めではありますが、これはこれでちゃんと単体で「面白かった!」と記録し、記憶しておくべき作品だと感じたので。いやー、ナオコーラ先生は本当に素晴らしい。

文藝 2006年 11月号 [雑誌]

文藝 2006年 11月号 [雑誌]