chronic life

I can (not) have relations.

佐藤友哉『世界の終わりの終わり』角川書店

「いえ、誰にも言ってませんがね、しかしあなたにだけは教えてあげましょう(絶対に秘密ですよ……)。親の貯金を全部うばって、友人をだまして、自分の通帳からしぼり出した金を、重度の心臓病に罹った女の子の手術代にあてて、でも結局は助からなくて、やがて家族や友人に見つかってしまい、死んでしまった女の子の名前を心の中で唱えながらピストル自殺する……。わたしはそんな小説が書きたいんですよ。あんなものばかり書いてますが、でも本当はそんな感じの、くだらなくて、安っぽくて、ロマンチックなものが書きたくて仕方がないんですよわたしは。奇抜なんてくそ喰らえだ!」(p.58-59)

僕が朧気に記憶していたのと、結構変わってるっぽいですが、これはこれで良かったですね。って云うか、今年単行本になった三作って、ある意味同じことを描いていると云ってもいいんじゃないだろうか、と云う気がしてきました。初出の連載・掲載時期こそ違えど、手を加えたのは殆ど同時期か連続してでしょうしね(判んないけど)。そういう訳もあってか、この次の一作こそが、真に待望される新作、と云う心積もりにすっかりなってしまっています。それが読めるのは、『ファウスト』Vol.7なのか、それとも……?

世界の終わりの終わり

世界の終わりの終わり