chronic life

I can (not) have relations.

前田司郎『愛でもない青春でもない旅立たない』講談社

ロマンスカー」山本が言った。
ロマンスカー!」僕は叫んでみた。
「ロマンス!」「ロマンス!」山本が二回叫んだ。
「ロマンス」僕も言ったが、そろそろやめるタイミングだと思ったので一回にしておく。
「ロマンス!」山本が最後に一回叫んだがそれはなんとなく失敗っぽい感じになった。(p.63-64)

 確かに僕はこの女性とセックスした事がある。
 今目の前でポテトを食べながら山本の話に相槌を打っているこの人は、本当にあの時のあの人なのだろうか。
 あやうく「あの時、俺らセックスしたよね?」と素で聞きそうになった。本当に素で。「あれ、こないだもお好み焼き食べたよね?」と言うくらい素で。(p.91)

比べるのもおかしな話ではあるのだけれど、森見登美彦より前田司郎、だと想った。それくらい面白かったと云うことなのだが、巧く伝わっているか、あまり自信はない。まぁ、僕の個人的な感覚である(この場に書かれることの97%くらいはそうだけれど)。しかし、これが本当に「愛でもない青春でもない旅立たない」だとしたら、残っているものは一つしかないように感じられた。それは即ち、「バカ」である。この「バカ」には、当然「エロ」も含まれている訳だが、その辺りの階層構造を説明するのは非常に厄介なので、やはりここは「バカ」の一言に集約させるのが最も適当だと考えられる。97%の自信を持って。

愛でもない青春でもない旅立たない

愛でもない青春でもない旅立たない