chronic life

I can (not) have relations.

中島京子『さようなら、コタツ』マガジンハウス

 日曜日の日中に、しかも携帯ではなく自宅に電話してくるなんていったい何者だろう。ともかく俺はいない。いないことにする。この天気のいい日曜日、こんな時間に家にいる人間がいると想像するほうがおかしい。かけなおせ。かけなおせ。(p.114)

久し振りに「見つけた!」と云う、閃きのようなものがありました。それは、絲山秋子を初めて読んだ時にも似た感情の昂りと云うか、穏やかな興奮でした。とても面白かったです。作品の内容や雰囲気としては、そんなに昂りや興奮を感じるような刺激的なものではなく、僕の知っている範囲で云えば、角田光代絲山秋子を足して二で割った感じ……と云うのも少し違うんですが、とにかくまぁそんなところです。個人的に一番好きだったのは「陶器の靴の片割れ」かなぁ。上記の引用もその作品からだし、夢と現が絶妙に混濁してしまったような終わり方も実に自分好みでした。とは云え、どの作品も非常に素晴らしいものばかりだったので、読む人や読むタイミングによって、最も強く印象に残る作品も変わるような気がします。是非、これから他の作品も読んでみたいと想いました。

さようなら、コタツ

さようなら、コタツ