chronic life

地下室の屋根裏部屋で

ステーションの奥の奥/山口雅也/講談社ミステリーランド

 故宇山日出臣氏に、少しの美酒とともに、本書を捧げます。(p.4)

実にミステリーランドらしい、もしかしたらミステリーランドと云う叢書がなければ――いや、宇山日出臣氏と云う編集者が存在しなければ、書かれなかった作品かも知れません。それだけ、得難い魅力を持った良作でありました。僕がこれまでに読んだミステリーランドの作品の中でも、三本の指には入りますね(と云いつつ、ミステリーランドを読むのは本書で四作目な訳ですが。ちょっとした数字のトリック――いや、まやかしです)。今、僕の目の前に十二歳の甥っ子が現れて、「何か面白い本ない?」と訊かれたら、真っ先に本書を差し出すことも吝かではないですね。そういう意味でも、やっぱり実にミステリーランドらしい作品だったと想います。何だか、同じことを何度も云い直しているだけのような気がしてきてしまったので、一先ずこの辺で。

ステーションの奥の奥 (ミステリーランド)

ステーションの奥の奥 (ミステリーランド)