chronic life

I can (not) have relations.

手紙

想像以上に長くなってしまったので、取り敢えず畳んでおきますが、何はともあれ騙されたと想って観に行ってみて下さい。お薦めです。
どうもタマテツに若干の苦手意識があったので様子見していたんですが、後れ馳せながら監督が生野慈朗さんだと云うことをつい最近知り、俄然観たくなったので映画の日に観させていただきました。大変素晴らしかったです。どれくらい素晴らしかったかと云うと、観終わったその足で書店に直行して、迷うことなく原作を購入したくらいです。まぁ、未読だったのかよ!って話ではありますが。凡てを観ている訳ではないんですが、これまでに数多く映像化された東野作品の中でも、最高の出来ではないだろうかと想います。山田孝之沢尻エリカの連ドラ版『タイヨウのうた』コンビを始め、出てくる人物が全員魅力的で、非常に見応えがありました。個人的には、特に杉浦直樹さんと吹越満さんが印象的でした。両者共、山田君演じる直貴と語り合うシーンがメインだったんですが、これがもう堪りませんでしたね。挿入歌に引っ掛ける訳じゃないんですが、正に「言葉にできない」空気感と説得力があって、いまだにそのイメージが脳裏に焼き付いて離れません。正直「苦悩する山田君はそろそろ見飽きたかなぁ」と想っている節もあったんですが、全然そんなことなかったです。もう、とにかく凄いとしか云いようがない。この人は本当に本物だわ。いや、別にこれまで贋物だと想ってた訳じゃないんですけど、この映画で山田孝之と云う役者の底力を見せ付けられた気がしました。沢尻さんも凄く良かった。由美子と云う一つの役の中に、幾つもの顔があるようで、尚且つちゃんと一本芯が通っている雰囲気がとてもストレートに伝わってきて、一人の人間としての厚みが充分に感じられたと想います。冒頭で「苦手意識があった」と書いた玉山さん*1も、ちょっとこれまでに観たことがないくらいの好演っぷりで、この作品で一気に印象が変わりました。最後の例のシーン*2なんて、一緒になって肩を震わせていましたよ。後、この人には触れておかなければいけないと云うのが、テラタケのツッコミをやっていた寺尾祐輔役の尾上寛之君。彼の存在は、非常に大きかったと想いますね。全体的に、重かったり暗かったりしてしまうテーマやシチュエーションの中で、祐輔がどれだけそれを和らげていたことか。それに、直貴と由美子の関係が進展する上でも、(特に前半は)彼の暗躍が俄かには侮れない重要さだったと想います。要チェックの若手俳優が、また一人増えましたね。それにしても、幾らタイトルになっているとは云え、手紙がこんなに随所で重要な役割を果たすとは、最早「お見事」としか云いようがありません。観るかどうか悩んでいる方は、是非ともご覧下さい。後悔は、させないと想います。今年観た映画の中で、掛け値なしに誰にでも薦められる作品第一位ですね、今のところ。

http://www.tegami-movie.jp/

手紙 (文春文庫)

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手紙 スタンダード版 [DVD]

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*1:そりゃ敬称も付けますよ

*2:観た人には判ると想いますが