これは伊坂版『素晴らしい世界』である、と云い切るのは流石に躊躇ってしまいますが、これまでの伊坂さんの持ち味と、浅野いにお的なテイストが程好くブレンドされていた感じがして、僕はかなり楽しめました。まぁ、僕の場合、伊坂さんの作品の中でも自分が好きそうな奴しか読んでいないので(だから半分くらいは未読)、ちょっと偉そうに「伊坂さんの持ち味」とか書けた立場ではないのかも知れませんが。そこはそれ。個人的には、「演劇のオール」「冬眠のガール」「天体のヨール」がベスト3かな。ラストの「深海のポール」も捨て難いけれど、こういう感じの短篇集の最後の一篇は、何だか妙に少しだけハードルが上がってしまうので。大オチと云うか、そういうのを期待してしまうじゃないですか。まぁ、これはこれでいい締め方だったと想いますけどね。これじゃあ結局、褒めているのか貶しているのかよく判らないじゃないか。と云うことで、結論としては面白かったです。
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: 単行本
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