chronic life

地下室の屋根裏部屋で

ストロベリーショートケイクス

「希望は売り切れですか……」

原作・魚喃キリコ、監督・矢崎仁司、脚本・狗飼恭子
僕が元々この映画に興味を持った発端は、「保坂和志が出ているから」と云う非常に邪道な動機だった訳ですが、観終ってみれば全然そんなことは気にならない、とても素晴らしい作品でした。今年、映画館で観た中では三本の指に入るかな、と云うくらいに面白かったです。まぁ、結果的に保坂さんの演じていた役と云うのも、ある意味重要な……おっと、これ以上は書けません。東京で暮らす四人の女性の日常を淡々と、時に激しく描いていくと云う点において、『tokyo.sora』との類似点を考えないでもなかったのですが、とは云え共通しているのは今書き出したところくらいで(その上『tokyo.sora』で描かれるのは六人)、それ以外のストーリーやキャラクター、それにそもそも映画としての文法のようなものが違っているので、やはり全くの別物と考えた方が、しっくり来るような気がしました。キャスト、と云うか登場人物では、中村優子演じる秋代と、岩瀬塔子演じる塔子が特に印象的でした。とりわけ秋代は、スーツ姿でデリヘル嬢をやっている時と、ラフな格好に眼鏡を掛けて菊池と逢っている時のギャップがかなりあって、ただ漫然とぼんやり観ていたら、この二人が同一人物であると云うことに、暫く気付けなかったかも知れません。しかも、寝てるの棺桶だし。
R-15指定と云うことで、確かにそれなりに刺激的なシーンもありはしたんですが、それが売り物と云う訳でもなく、やはり四人の生き方、考え方、悩み方、そして愛し方を見届ける、と云うのがこの映画の主眼のような気がしました。それらを描くには勿論、色んなシーンが必要な訳ですから。映画館にもう何度か観に行くのを我慢して、これまたDVD購入用の貯金を用意しなければな、と想いました。溜め息が出るほど良かったです。

http://www.strawberryshortcakes.net/

Strawberry shortcakes (フィールコミックスGOLD)

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ストロベリーショートケイクス [DVD]

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