chronic life

I can (not) have relations.

少女七竈と七人の可愛そうな大人/桜庭一樹/角川書店

「田舎には娯楽ってものがない。テレビを見るか、子づくりに励むかだろう。あぁ、なんてつまらないせかいだ」(p.110)

「青春の墓標にするわ」(p.260)

川村慶や田中南と同じ昭和56年生まれで今、川村優奈が漸く「どう生きたいかに気づいた*1」25歳の筆者な訳ですが、僕はまだまだ何にも気付いていないような気がします。いや、きっとそうです。その上、僕が本書の登場人物の中で最も感情移入してしまった緒方みすずの云った、二つの目の引用の台詞のところにさえ、まだ到達していないように想います。〈異形〉の「少女」ではなく「可愛そうな大人」にもなり切れない者は、果たしてどんな道を歩めば良いのでしょうか。それとも僕はもう、気付かない内に「可愛そうな大人」の仲間入りをしていたのでありましょうか。未だ何者でもない、と云ったら都合が良過ぎるかも知れませんが。些か、感傷的に過ぎるような気もしますが、今日のところはこの辺で――。

少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人

「ありましたよ。奥のクローゼットの、中ではなく上に、放りあげてありました。ああいう放置の仕方はよくないと思います。スーツも、買い集めたグッズも、むかしの手紙や日記も、産んだこどもも、放り投げてふらふらと旅に出るのは。ほんとうによくないことですね。聞いてますか、おかあさん」(p.238)

*1:p.244