うぉ――! 十五年くらい前の吉田栄作の気分だ。どこまでも高く青い空に向かって、大声で叫び出したい。実際、読んでいる最中に何度か叫び声を上げたり、嗚咽を漏らしたりしたので、もしかしたら隣か上の部屋の住人から、苦情が来るかも知れないが。本当に、マジで超良かった。最高です。もう「面白い」とかそんな言葉じゃ、あまりにも軽過ぎる。こいつら皆、大好きだ! 青いと云われようと、甘いと云われようと、若いと云われようと、こんなの絵空事だと云われようと、俺はこの物語が――ここに生きている凡ての人達が、心から愛しくて堪らないんだ。こんなにも優しい昂揚感を覚えたのは、生まれて初めてのことだ。何度も、幾つも、胸の奥を強く揺さ振られるシーンやコマや瞬間があって、もうそれはどうしたって言葉になんかならなくて、とにかく息が止まって、心臓の鼓動が耳に響いて、瞳が光を捉えていると云うことがはっきりと感じられて、何だかよく判らない声の原石のようなものが、喉を通って外の世界に飛び出していくだけなんだ。こんなに素晴らしくて、こんなに格好良くて、こんなに素敵で、こんなに眩しい漫画を読むことが出来て、僕はホントに、本当に幸せでならない。
ここ最近、何だかずっと煮え切らないと云うか、突き抜けない感じがしていたのだけれど、『ソラニン』のお蔭で漸く、ちゃんと笑えたし、ちゃんと泣けたし、ちゃんと感動出来たし、ちゃんと心が起き上がったし、ちゃんと生きていけそうな気がした。芽衣子、ビリー、加藤、アイ、大橋、アユ川、冴木、種田のお父さん、ビリーの親父、そして種田――。有難う。ありがと。
- 作者: 浅野いにお
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/05/02
- メディア: コミック
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