率直に云ってしまうと、恐らく著者が津原泰水でなければ、僕は本書を手に取ることさえなかっただろうと想う。読んでいる最中も、そして読み終わった今もずっと、些か長大な映画の予告篇か、さもなければ今後『週刊少年ジャンプ』*1に連載予定の作品の、その前に掲載された読切漫画のような感じがしている。多分この世界には、本書の他に『アクアポリスA』から『アクアポリスZ』までが存在していて、この物語なり世界観なりを完全に食らい尽くすためには、それらを全部読み切らなければならないのではないだろうか。その作者が凡て、津原泰水であるとは限らないが。寧ろ、自分で書けばいいのかも知れない。だが、しかし――。作中に登場する、イサカと云う人物の記した手記が良かったです。そこだけ切り取って、単独の短篇にしてもいいくらい。
それにしても、Amazonはいい加減「発売日」を訂正した方がいいんじゃないだろうか。
- 作者: 津原泰水
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2005/01/12
- メディア: 単行本
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*1:内容ではなく、そのスタンスとして