chronic life

I can (not) have relations.

神の子どもたちはみな踊る/村上春樹/新潮社

「でもそれだけじゃ足りないんだね」

村上春樹五作目、七冊目。「かえるくん、東京を救う」まで読んで、やっぱ「かえるくん」面白いなぁ、と想っていたのだけれど、「蜂蜜パイ」に入ったら全部吹っ飛んでしまった。好き過ぎる、こういう話が。弱過ぎる、こういう話に。物語や語り口は勿論のこと、主人公の設定や取り巻く環境など、とにかくもう凡てが琴線に触れて、どうにも逃げ場がない。好きにならずにいられない、と云う奴である。掛け値なしに素晴らしかった。また、連作としてのラストも実に効いていて、201頁を一体何度読み返したことか。と云うか、この後の村上春樹自身の作風の変わり具合が気になるよなぁ。もっともっと読みたい、春樹。
「蜂蜜パイ」や「かえるくん」以外も全部面白くて、これは是非ちゃんと買って手元に置いて愛読書にしなくては、と想いました。

神の子どもたちはみな踊る

神の子どもたちはみな踊る