chronic life

I can (not) have relations.

もうひとつの季節/保坂和志/朝日新聞社

読了。タイトルが示す通り、『季節の記憶』の続篇で、驚くべきことに(驚いてるのは僕だけかも知れないけれど)、初出は何と新聞連載。こんなのが毎日、新聞で読めてたなんて実に羨ましい限りですなぁ。「毎日」と「新聞」を続けて書いちゃうと、「毎日新聞」に読めちゃうので気を遣いますね*1
中身については、もう何と云うか堪りません。前作に登場していたナッちゃん(と娘のつぼみちゃん)が物語から退いて、その代わりと云ってはなんですが、伝家の宝刀である猫の*2茶々丸が登場。でまた、この茶々丸と視点人物である「僕」の息子、クイちゃんの絡みが非常に素晴らしい。分量はハードカバーで150頁強と前作の半分ほどで、単純に小説としての纏まりと云うか、「よく出来てる」かどうかで云えば、或いは『季節の記憶』以上なのかも知れない。それに何と云うか、珍しくラストがちゃんとオチてるし(笑)。頁数が少ないからと云って、内容まで薄まってる訳では決してないし、寧ろ作中で語られる内容は、こっちの方が色んな意味で濃いかも知れない。もう何と云うか、褒め言葉しか出てこないから、これ以上書いても無駄なような気がしてきた。一言。面白かったです。
最後に、僕が読んだのはハードカバーなんですが、中公文庫版の表紙が気に入ったので、そちらも載せておきますね。あぁ、欲しいなぁ。

もうひとつの季節

もうひとつの季節

もうひとつの季節 (中公文庫)

もうひとつの季節 (中公文庫)

*1:実際に連載されていたのは、朝日新聞夕刊

*2:本当はこういう云い回しは良くないんだけど、便宜的に