文学じゃないかもしれない症候群／高橋源一郎／朝日文芸文庫

読了。我が愛しのタカハシさんの文芸時評などを纏めたものです。と、こんな一言で纏めてはいかんのだが、連載の最終回に当たる、太宰治の「親友交歓」について書かれた「威張るな！」と、その後に収録されている「『正義』について」が素晴らし過ぎて、うっかりそれまでのところの感想を忘れてしまったのだ。しかも、それが本篇の最後だったのだから余計に性質が悪い。全体的に見ても、後半になるに従って面白くなっているような印象が残った。それは多分、徐々に個別の作品についての話題よりも、「文学」そのものに対する話の方に傾倒していったせいかも知れない。そういう話が、僕は好きです。

文学じゃないかもしれない症候群 (朝日文芸文庫)