読了。落語の演目を題名にした七つの作品が収められている、連作短篇集。田中啓文も、何気に初めて読んだ気がする。最初の一冊がこれで良かった、とか云っちゃ駄目ですか? 駄目ですね。
「落語ミステリー」と一言で云ってしまうのは、ちょっと勿体ないような快作。と云うか、僕の感じた限りでは、ミステリーとしてのネタやオチよりも、落語そのものの魅力や噺家達の遣り取りこそ、作者は書きたかったのではないだろうか。要は、そこが実に面白かったのだ。
俄かに落語への興味が高まっている今の僕にとっては、非常に得難い読書体験でした。登場人物では、何気に梅雨がお気に入り。本当にいるよなぁ、こういう奴。続篇希望。
僕がこの本を手に取ったのは、スズキトモユさんがエキサイトブックスの「日刊!ニュースな本棚」で書かれていた、ドラマ『タイガー&ドラゴン』に夢中な人はこれも!と云う記事がきっかけで、正直この文章を読まなかったら、僕はきっと一生この小説を読むことはなかったと想います。そういう訳で、感謝の意を込めまして、改めて紹介させていただきました。
- 作者: 田中啓文
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/12/01
- メディア: 単行本
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