chronic life

I can (not) have relations.

美しい星/三島由紀夫/新潮文庫

読了。三島を読んだのはかなり久し振りで、恐らく高校時代に『仮面の告白』を読んで以来ではなかろうか。実に八年振り、二作目。
冒頭、その独特な世界観とソーシャルな話題に慣れるのに若干梃子摺ったものの、それを乗り越えてからは、卓越した文章の力もあって、魅力的な物語と会話にグッと引き込まれた。
特に第八章・第九章の、重一郎と仙台の三人組(主に羽黒)との遣り取りは圧巻で、正直どこまで真摯に受け取れているのか詳らかではないのですが、それでも確かに、しっかりと重く心に迫ってくるものがあって、このパートだけでも、充分この一冊を読んだ甲斐があったな、と。それに、第十章の伊余子。詳しくは書きませんが、こういうのも結構好きですね。
しかし、SFだと想って読んだとしたら、かなりビックリするんじゃないかなぁ。

美しい星 (新潮文庫)

美しい星 (新潮文庫)