chronic life

I can (not) have relations.

旅をする裸の眼/多和田葉子/講談社

読了。うーん、感想が難しい。何と云ったら良いのだろう。面白くなかったのか?と問われたら、そんなことなかったと答えるけれど、じゃあ手放しに傑作だと万人に薦められるかと云えば、それはそれでまた微妙な訳で。つまり、自分の中でもどうにも評価に困っていると云うか、よく判らないと云うのが正直なところなのかも知れない。
最初の110頁位は、読んでて結構辛くて、最後までこんな感じだったらきついだろうなぁーと想っていたのですが、ラスト150頁位は面白くてどうにも手が止まらなかった。俗に云う一気読み。まぁ、途中からな訳ですけど。果たしてそれが、作品自体の面白さの差故なのか、僕の気持ちの乗り具合なのか、その辺がイマイチはっきりしないもので、そういう具合で評価に迷っていると云うのもある。滅茶苦茶面白かった想い出も、読みあぐねて参った記憶も両方を兼ね備えている。そんなの、本当は兼ね備えたくないんだけどね。本としても、読者としても。或いは作者としても。
そんな訳で、強く印象には残りましたが、この読後感を人にどう伝えたらいいのか、僕にはよく判りませんでした。なので何時ものように戯言で逃げてみると云う。まぁ、冷やかしだけどね――。

旅をする裸の眼

旅をする裸の眼