
- 作者: 神津慶次朗
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/10/22
- メディア: 単行本
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うわぁー、何か凄く同属嫌悪な感じ。僕がもしマジでミステリー書こうと想ったら、こういうの書いちゃうかも、みたいなね。勿論、クオリティは雲泥の差でしょうけど。で、この作品自体は横溝と京極のハイブリット――と云う事前のイメージを、良くも悪くも裏切らなかった出来。本当、モロですよモロ。
不思議なことですが、文章的に引っ掛かるところが結構あるにも拘わらず、何故かグイグイ読ませるんですよ。何と云うか、話を牽引していく根本的な力があるんだろうなぁ。良いことだ。こういう時、若さ故の勢いの良さとか想ってしまうのは、作者の年齢を知っているからかも知れないけど。
で、途中で出てくる殺害トリックが非常に魅力的。僕ならアレを想い付いた段階で、きっとメインのトリックに据えてしまうだろう。しかし、その後の真相のどんでん返しの連続は、途中で眩暈を起こしそうな程。畳み掛けるように現れてくる事件の新たな側面の多くが、推理出来るか出来ないかのギリギリのライン――と云うか、個人的には無理だと想うけど(笑)。それに、解決篇が肥大化していくと云うのも、どうも京極っぽいと想ってしまう。動機に説得力に欠けてしまうと云うのは、まぁ個人的にはそれ程気にならず。
総合点でいくと、将来への期待値も含めれば、充分OKなレベルなんじゃないだろうか。そんなに率先して、人に薦めたりするつもりはないけれど。