chronic life

地下室の屋根裏部屋で

続巷説百物語/京極夏彦

先日云っていたノベルス版、読了。京極師匠は、版型が変わる度に手を加えているので、その度に読み直さなくてはいけません。まぁ、再読しようと想っていても、普通はなかなかしないので、いい機会だとは想うのですが……。
今作は、明らかに百介の成長譚になっていると想う。読者は百介の目線で物語を享受されていく内に、どんどん百介の中に入っていく。同調・シンクロ・憑依と云ってもいい。
特に今の僕の場合、光と闇・昼と夜の狭間である黄昏時に身を窶しているので、彼の気持ちは善く判る。太陽の光は目映過ぎて眼が眩むが、闇の中では身動きが取れない――生きていけない。茫洋とした霧と霞の中を進むような、彼誰時のほんの僅かな瞬間にのみ、自らの居場所を見出してしまう。そして、その居心地の良さよ。
嗚呼、未だ読み終わってからの時間が短過ぎて、巧く言葉になりません。兎も角、素晴らしかった。出来れば何時の日か、『巷説』・『続巷説』・『後巷説』を一気に事件の起こった順に読み返してみたいものです。まぁ、そんなことしようと想ったら、かなり膨大な時間と相当の根気が必要なんだろうけど(笑)。
それは又、別のお話――。