chronic life

I can (not) have relations.

犬神家の一族〜誰も知らない金田一耕助〜

先週の土曜日に放送された、稲垣吾郎氏の主演ドラマ。今日になって漸く観ることが出来た。気分の問題だった。金田一ものが観たいようなテンションになるには、少しテクニックがいると想う。
メインの『犬神家』の物語の前に、金田一アメリカ時代に解決したと云う、幻の事件のパートが、丸でコント――って云うか寸劇みたいだったんだけど、是は一体どうしたもんか。誰かミステリー的なバックアップをしなかったのだろうか? 余りにも杜撰と云うか酷いと云うか……もう一寸他に何か無かったものか?と、少し哀しくなった。だって、金田一耕助が探偵として才能を発揮し始める、記念碑的事件なのに、どうしてあんな……ううっ。
まぁ、そのことは観なかったことにしよう。コヒさんの横溝正史が、なかなか味があって良かったので、それで大目にみよう(笑)。
で、本篇『犬神家の一族』。こちらは、良くも悪くも巧く纏まっていたと想う。しかし、原作の小説と云うよりも、市川崑監督の石坂浩二版『犬神家の一族』を下敷きにしているような気がする。丸で、『砂の器』みたいだ(笑)。
その石坂版『犬神家』ってのは、実は僕が初めてミステリーに触れた最初の作品で、その衝撃は今でも忘れられない。未だ小学校に入ったばかりだったような遥か昔。夜中に不意に眼が醒めてしまった僕は、トイレに行った帰り、なかなか寝付けなくて、リヴィングのTVを付けて観ることにした。深い意味は無い。唯の気紛れ。しかし、その気紛れが、その後の僕の人生を惑わす元凶となるのだ。
時刻は、午前1時を少し過ぎた頃だったろうか。TVの画面に映されていたのは、深夜のロードショウでやっていた、件の石坂版『犬神家』。しかも、シーンは丁度復員して来たばかりの佐清が、あのマスクを取る場面だったのだ。一瞬にして、画面に釘付けにされてしまった僕は、結局そのまま最後迄観続けてしまうことになる。
当時6,7歳だった僕は、真夜中に独りで『犬神家』を観たその瞬間に、大きく自分の世界を揺り動かされることになった。ミステリーの世界に足を踏み込む、その契機となったのだ。
……って、是はドラマの感想じゃなくて、僕の想い出話なんですけど(爆)。まぁ、今回のドラマも面白かったですよ。秋には『八つ墓村』もやるみたいだし、頑張ってね、吾郎ちゃん。