chronic life

地下室の屋根裏部屋で

蛇にピアス/金原ひとみ

文藝春秋』の三月号で読んだんで、本当は書籍(本)じゃないんだけど、体裁的には普通に本の感想として書きます。
普通に面白い。是を誉め言葉と取るか、貶しと取るかは各人に任せますが、僕は本当に普通に面白いと想いましたよ、はい。と云うかね、僕はこの作品で生まれて初めて芥川賞を読んだんですよ。だから、他の作品とは比べられないし、金原さんの実力も善く判らない。けど、普通に雑誌(文芸誌)に載ってたり、偶々買った単行本が是位面白かったら、僕はちゃんと評価しますよ。要はそういうこと。
僕も好きな村上龍山田詠美、それに花村萬月なんか読んで育った僕等位の世代、或いは僕より下の年代にとって、この作品は必然的な流れの中で、書かれるべくして書かれた作品だと想う。それは別に、歴史に名前が残るとか、日本文学史上意義のあることだなんてことじゃなくて……ぶっちゃけてしまえば、僕達は『日蝕』なんかよりも、こういう作品が読みたいし書きたいんだ!って云う、そういう意思の産物だと想う。それは別に、最近の風俗が描かれているからとか、今の言葉で書かれているからなんて云う、単純な理由だけじゃなくて、それはやっぱり、作品の持つ力であり文章だと想う。だから、読む価値があったし、読む意味も確かにあった。面白かったし、感情移入もした。でも多分、『文藝春秋』に載ってなかったら、きっと一生読まなかったんだろうなぁ(笑)。
あ、いや……なんか間違ってるな、この感想(爆)。