chronic life

I can (not) have relations.

刮目せし彩紋家

起きて最初の食事を調達しに、通勤とは反対方面の地下鉄の駅前のコンビニ迄出る。途中のコンビニでチケットレスの航空券の支払いをしたりする。その足で少し遠出して、駅前の書肆に立ち寄る。勿論、買う積もりは無い。しかし、どうにも自分の肉眼で『彩紋家事件 前編 極上マジックサービス』が見たかったので……。で、最後に二冊だけ残っていた同書を手に取る。PCの画面で、映像としてだけは見ていた表紙。大きく筆文字で「彩」と書かれた上に、恐らく彩紋家の家紋かと想われる紋様。帯の下から燃え上がる煉獄の炎。そして、鮮やかな碧が映える「清涼院流水」の文字……。背表紙と併せ、その凹凸の手触り迄確認した上で、僕はそっと頁を開く――。
先ず驚いたのは、その挿画である。藤原ヨウコウ氏の手に因るその幾つかのイラストが、長々と本文を読む耽る訳にはいかない僕にも、その雰囲気を凝縮して伝えてくれる。そして何故か僕は、横溝正史の角川文庫シリーズの表紙を想い出していた。不思議なことだった……。
その後、各処で話題に上っている、流水御大の著者近影に驚喜(狂喜)し、仄かに感動に打ちひしがれた。嗚呼、流水教信者(流水スト/御大スト)で良かった、と……。そこで僕は、そっと同書を陳列棚に戻して、その映像と感動を心に焼き付けつつ、ゆっくりとその場を後にしたのだった。勿論僕は、手ぶらである。
――と、是は別に惜しみでも何でもなくて、僕の何時もの一流(?)のレトリックと上滑りですよ(爆)。此処迄、一人称語りっぽく書いてたから、こういうオチにするしかなかったと云うかね……。