chronic life

I can (not) have relations.

嘘を盛り沢山で

昔の職場の後輩と、新宿の白木屋で飲んだ。後輩は僕よりも二つ年下で、今年22になるそうだ。そりゃあそうだ。僕今年で24だもの。人間だもの。失敗したっていいじゃない。
僕は最初にモスコミュールを頼んだ。後輩はすっかり職場に侵されてしまったようで、最初に一杯ビールを飲んだ後は、直ぐに日本酒に移行していった。職場に入って来た当初は、甘酒も飲めないとか云ってたのに、今では一人で楽々五合は空けていた。人の進歩とは、何と素晴らしいものか。皮肉じゃないよ、皮肉じゃ。
それを尻目に、着々とカシスウーロンを空けていく僕。頼んだ回数だけなら、余裕で勝ってる。二人ともそんなに空腹ではなかったのか、食べ物のメニューは殆ど頼まず、後輩は漬物を、僕はチーズの盛り合わせを淡々と口に運んでいた。
会話は、本当に他愛もないことばかり話していた。共通する趣味もないのに、彼とは何故か最初から馬が合っていた。本の話もTVの話も音楽の話も何もしないで、特に意味のないことをツラツラと喋くるだけ。それでも僕等は、大いに笑った。大いに楽しんだ。いい夜だった。雨さえ、雨さえ降っていなければ。
帰りのタクシーで後輩は事故に遭い、今は生死の境を彷徨っている。